2014/07/27

入社3年目が辞める3つの理由と引き止める3つの方法

2013年9月 都内某所にて行われた「若手社員向けコンベンション」に参加した。
集まったのは、某グループ加盟会社に勤める3~4年目の若手社員30人。

そのコンベンション内でのディスカッションで、全員が共通して考えていたことは「転職したい」だった。

会社としても、せっかく3年間かけて育てた社員を失うのは、大きな損失になる。
そこで、若手社員が「転職を意識する理由」と、会社が「社員を引き止める方法」について、若手社員の立場からまとめる。


若手が辞める3つの理由


転職の大きな基準として「3年」がある。
若手社員にとって「3年」は、会社と自分の立場を理解し始め、転職を考える頃だ。

そんな社員が辞める理由として、以下の3つが挙げられる。



1. マンネリ


恋愛にも倦怠期ってのがある。その原因は「マンネリ」だ。
仕事も同じように、マンネリがあり、日々刺激を求めている。

毎日満員電車で潰され、毎日決まった時間に出社し、毎日同じような仕事をする。
こんな状況でイヤにならない人の方が珍しい。

3年経つと視野も広がり、社会の仕組みもわかってくる。
そして、自分の「やりたい仕事」が見えてくる。

マンネリを打開するため、自分のやりたい仕事につくため、それが転職の動機になる。


2. 忙しさ


「忙しい」とは、「心」を「亡くす」と書くように、忙しさは人生を豊かにする上で最大の敵だとも言える。
十分な仕事をするには、充実したプライベートが必要不可欠なのだ

しかし、社畜精神に真っ黒に染まった上司の下で働くと、毎日残業、休日出勤、忙しいことは良いことだと教えられ、プライベートの「プ」の字もなくなってしまう。


体験談だが、入社1年目の最後、大炎上プロジェクトに放り込まれた。
そこでは超高稼働(残業80~150時間)が2年もの間続き、私は「心」を亡くした。

その頃は、毎日終電、休日出勤、週3徹夜、睡眠3~4時間、食事1日1回だった。
そんな生活がたたって、鬱になり休職一歩手前までいった。


このような極端な例は少ないと思うが、残業・休日出勤が続くと、会社を敵視するようになる。


3. 他社との比較


下請けによくあることだが、派遣や常駐で他社の人と一緒に仕事をする機会が多い。
仲良くなり、何気なく給与やボーナス、福利厚生なんて聞いてしまった時には……。

同じ環境で、同じ仕事をしているにも関わらず、年収が数十~百万違ったりするのだ。

こんなんじゃ、バカバカしくて働いていられない。
同じ時間働くにしても、いっぱいお金を貰える会社の方が良いに決まっている。

そして、会社に疑問を抱くようになる。
コンベンションに参加した30人のうち、23人も「愛社精神がない」と答えたのもその影響だろう。



社員を引き止める3つの方法


教育にはコストがかかる。
先にも述べたが、育てた社員を失うのは会社としても辛いだろう。

社員を引き止める方法のキーワードは「モチベーション」、「責任」、「つながり」だ。
そんな社員は、以下の3つのことを会社に期待している。


1. 新たな挑戦・環境


若手はいつも「刺激」を求めている。
SE業界では、入社から数年はテスター(テストする人)として、単純作業の繰り返しが多くなる。
「若手が辞める3つの理由」でも述べたが、マンネリはモチベーション維持の最大の敵だ。

いまさらレガシー言語(COBOLやVBなど)の学習を強要されたり、ずっと同じ業務をさせられているとモチベーションは下がる一方だ。

新たなことに挑戦できる。新たな環境で仕事をする。
たったこれだけの刺激でも、モチベーションは向上する。


2. 適度な責任


新入社員の頃は、金魚のフンのように先輩や上司についていき、「指示待ち」の状態が続く。
でも、3~4年も経てば、社員は「自分で判断できる!」、「また命令されるのか」と思っている。

この仕事を「やらされている感覚」が非常にマズイ。

ちょっとしたことでも任せてほしい。
その責任を果たした時に、嬉しさや達成感、やりがいを感じる。

こういうと世のブラック社畜上司は、全責任を投げつける傾向にあるが、それは全くの逆効果だ。
適度な責任を与えつつも、うまくいくようにフォローし、成功する感覚をつかませることが重要なのだ。


3. 人とのつながり


派遣や常駐だと社内の人との関係が希薄になる。
そして、他社の人と関係が密になり、外に目が向けられる。
「隣の芝生は青く見える」とはよく言ったように、「転職したい」と思うようになる。

定期的にコミュニケーションの場を設けて、相談に乗るだけで「わかってもらえているんだ」と会社のためにではなく、上司や先輩のために働こうと思えるようになる。
といっても、飲みニケーションのような老害発想はどうかと思う。
居酒屋に行くと自動的に2時間拘束されてしまう。
上司と飲むとかそれ以上に、この時間の長さが飲み会を嫌う人の本当の理由だったりする。

そうではなく、ちょっと事務所でお茶でも飲みながらの世間話、悩み相談だけで良い。




さいごに


どんなに頑張っても評価されないような会社では、優秀な人材は外に行ってしまう。
そして会社には、出し殻のような人たちだけが残る。

そんな状況にならないよう、会社には気持よく働ける環境を作って欲しい。


ただ、これだけは言っておく。

この記事は「会社が悪い」と一方的に述べているものではない。
パラサイト社員のくせに、会社に意見ばかりいうのはいささか傲慢だろう。

そこだけは勘違いしないでほしい。


以上

written by @bc_rikko



追記:2014/07/28 22:00
たくさんの方にこの記事を読んでいただいた。

「だったらやめればいいじゃん」という意見も多かった。
ただやめたところで、他の会社でも同じような不満を持つことになるだろう。

だから私は、今所属している会社の居心地を良くしようと、当エントリの内容(一部違うけど)を提案書という形にまとめ、1年ほど前に会社に提出した。

もちろん最初は相手にもしてもらえなかったが、毎日勉強をして資格を取得して、やりたいことをアピールし続けた。

それで、幾分か労働環境は良くなった。
新しい仕事に挑戦させてもらえたり、チームを任されたり、相談に乗ってもらったり……。(給料はさほど増えなかったけどw)

不満や愚痴を言っているだけでは、このような状況にならなかっただろう。

このことが未だ会社に残っている理由だ。


追記:2015/04/01 9:00
いろいろあった結果、2015/03/31付で退職した。

やめた理由について、以下の記事にまとめた。

追記:2015/11/01 00:00
半年間のフリーランス期間を経て、2015年11月1日にサーバ屋さんのフロントエンドエンジニアに転職した。マザーズ上場(のち東証一部上場)のいわゆる大企業で、ブログやサーバに詳しい方ならご存知の方も多いだろう。

いまはそのホワイト企業でのんびり仕事をしている。
転職して10ヶ月経ったが、この10ヶ月の合計残業時間は前職の1ヶ月分の残業時間より少なかったりするw


このエントリを読んでいる「転職を考えている方」は「社会に必要とされるスキルを持っているか?」と自問自答して、もしスキルがないのなら今すぐ勉強なりなんなりしてほしい。もし自信があるなら思い切って転職するのも良いだろう。

私の場合は前者だったので、勉強する時間を確保するために後先考えず会社をやめた。
そして、半年間自分が就きたいフロントエンドの勉強をしてきた。
フリーランスとしての収入はわずかで、収入がない月が続き、貯金も100万くらい減ったが、半年間の成果(ブログやGitHubで公開している)を武器に転職活動をしたところ、数社から内定をいただけた。

もし本気で転職を考えるなら、とにかく行動をおこしてほしい。
この世からすべてのブラック企業が滅びることを願って……。

2 件のコメント :

  1. 考えさせられる議題であり、時代の流れや環境によって変化があることですね

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    1. コメントありがとうございます。
      みなさんの意見を見ながら、ブラック企業はなにか、ホワイト企業はなにかといろいろ考えさせられました。

      確かに就職氷河期を経験した世代と売り手市場で楽々入社できた世代、また自分が在籍している会社の労働環境によっても、感じ方が変わりそうですね。

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