2016/04/03

やめる勇気、断る勇気

以前SIerに勤めていた頃に社内報に寄稿した記事を一部修正して公開いたします。

この時期、新卒でSIerに入社された方もいると思います。
SIerにいると必ず炎上プロジェクトに巻き込まれ「やることが多すぎて時間が足りない」という事態に陥ることでしょう。そんなときにこの記事を思い出してください。



やめる勇気、断る勇気


働けば働くだけ評価される、そんな時代は終わりました。

今のエンジニアに求められていることは「短期間で製品を提供し続ける」ことです。
だからこそ「やめる勇気・断る勇気」が必要なのです。



時間が足りないのではなく、やることが多すぎる


何度か炎上したプロジェクトを経験して気づいたことは、全員が口をそろえて「時間が足りない」と言っていることです。そして、すべての作業をやろうとして、残業、休日出勤、徹夜をしていました。

ですが、その大半はムダな作業が多い印象を受けます。

  • 設計書の枠線を引くだけで数時間
  • 具体的な目的がない調査で数日
  • テストカバレッジを100%に近づけるため"だけ"の無意味な手動テストで数週間
  • お客様の"思いつき"に振りまわされて数ヶ月

これらをやらなかったといって、システムにバグが入るわけでも、納期が遅れるわけでもありません。
まったくムダな作業です。こういった作業は今すぐやめるべきです。



やるのは簡単、やめる・断るのは難しい


とはいっても、やめたり、断ったりすることには勇気が必要です。

お客様に指摘されるかも?
リーダーに怒られるかも?
あとで必要になるかも?

考えだすと「やる理由」しか見えてきません。
だからといって作業をやるのは簡単ですが、それではいつまでたっても状況は良くなりません。



「やめる勇気・断る勇気」をもつ


今やっていることは、本当に必要でしょうか?
これからやろうとしていることは、役に立つのでしょうか?
もしやらなかった場合、どんな問題が起こるでしょうか?

やってもやらなくても良いような作業はもちろんのこと、
「なぜ必要なのか」が明確でない作業もやるべきではありません。

今一度、「何のためですか?」と聞いてみましょう。
自分で見つけた仕事なら「何のためにやるの?」と自問自答してみましょう。

答えがでないものはすべてムダだとわりきっても問題ありません。
そういった作業はすべて断り、価値ある仕事にのみ注力することこそが重要なのです。


実際に、1年間「やめる勇気・断る勇気」を持って、リーダーとして仕事をしてきました。
その成果として、昨年はほとんど残業せず、定められた品質・納期を守り、お客様から信頼されるようになりました。

みなさんも勇気をもって、ムダだと思う作業をやめて・断ってください。
そして、価値ある仕事のみに注力しましょう。 



あとがき


これを社内報に寄稿すると同時に辞表を提出し、会社を辞めましたw

上司からは「君はそう思うかもしれないけど、新人がこれを見て誤解するから、社内報には掲載できない」とお叱りを受けました。
でも、これくらい過激な書き方をしないとダメだと思うほどひどい状況でした。
お客さまの言われるがままに作業をしていて、残業、休出、徹夜が常態化していました。
そして上司に聞いても「いいからやればいいんだよ」と…。

会社から見れば、私は代替可能な一部品でしかありません。
ですが、私から見れば唯一無二のたいせつな人生なんです。

ムダなことして身をすり減らしている余裕なんてないんです。

だからそこ、みなさんには充実した生活を送れるよう「やめる勇気」、「断る勇気」を持っていただきたい。



以上

written by @bc_rikko

2 件のコメント :

  1. 心に響く記事ですね。

    オッカムの剃刀的な視点を常に持つのは大切なことだと思います。

    今後もブログ更新楽しみにしています。

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    1. たきもと さん

      いつもブログを見ていただき、ありがとうございます!

      「オッカムの剃刀」はじめて知りました。
      前職には必要以上にあれも、これも、どれもやるって人が多かったですね。
      お金にならないばかりか、逆に自分たちの足かせになったり、お客様に足元見られたり…。

      たまにコラムも書きますので、また読んでいただけると嬉しいです♪

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